「音読」と何が違うの?子どもがシャドーイングを始めるべき3つの理由

「英語の勉強といえば、まずは音読!」 そう思って、お子さんに教科書を読ませていませんか?

もちろん音読も大切ですが、実は「英語が聞こえる・話せる」ようになるための近道は、別にあります。

それが「シャドーイング」です。

実は私自身、かつては英語のリスニングが本当に苦手で、何を聴いても呪文のようにしか聞こえない時期がありました。しかし、大人になってからシャドーイングを習慣にしたことで、英検準1級合格、TOEIC 800点を達成することができたんです!

大人になってからでもこれだけの効果があったシャドーイング。耳が柔らかく、吸収力の塊であるお子さんの時期から始めたら、その効果は計り知れません。

今回は、子どもがシャドーイングに取り組むべき理由と、具体的なやり方を解説します。

目次

1. そもそも「音読」と「シャドーイング」って何が違うの?

似ているようで、脳の使い方は全く違います。

音読: 目で「文字」を見て、自分のペースで声に出す。
目的:単語の読み方や、文の構造を理解すること。

シャドーイング: 耳で「音」を聞いて、影(シャドー)のようにすぐ後ろを追いかけて発音する。
目的:英語特有のリズム・スピードを体に染み込ませること。

音読が「知識」を確認する作業なら、シャドーイングは「英語をリアルタイムで処理する力」を鍛える練習です。

大きな違いは「お手本があるかないか」と「スピード感」です。

2. 子どもがシャドーイングを始めるべき「3つの理由」

なぜ、ただの音読よりもシャドーイングが効果的なのでしょうか?

① 「英語の耳」が爆速で育つ(リスニング力の向上)

音読は自分のペースで読めますが、シャドーイングはネイティブのスピードに合わせる必要があります。 「音がつながる部分(リエゾン)」や「弱く発音される単語」など、教科書の文字だけではわからない「生の英語の音」を聞き取る力が飛躍的にアップします。

② ネイティブに近い「きれいな発音」が身につく

子どもは耳が非常に良く、聞いた音をそのままコピーする天才です。 シャドーイングを繰り返すと、カタカナ英語ではなく、ネイティブそっくりのイントネーションやリズムが自然と身につきます。これは、一度定着すると一生の宝物になります。

③ 「英語脳」が作られ、反応が速くなる

シャドーイングは「聞いてすぐ出す」という瞬発力が必要です。 「英語→日本語→英語」と考えている暇がないため、英語を英語のまま理解する「英語脳」が鍛えられます。これにより、実際の会話でもスッと言葉が出るようになります。

3. シャドーイングは何歳から始めるのがベスト?

結論から言うと、「英語の音を聞いて、なんとなく真似できるようになる3歳〜4歳頃」からがスムーズです。

3歳〜5歳(黄金期): 意味がわからなくても「音」をそのままコピーできる時期。歌や短いフレーズでの「真似っこ遊び」として始めるのが最適です。

6歳〜(小学生): 文字が読めるようになると、どうしても「文字」に頼る音読に偏りがち。この時期にシャドーイングを取り入れることで、聴覚を鍛え続けることができます。

もちろん、中学生になってからでも遅くはありませんが、「耳の良さ」を最大限に活かせる幼児〜小学校低学年のうちに、シャドーイングの土台を作っておくのがおすすめです。

4. 失敗しない!子ども向けシャドーイングのコツ

「難しくて子どもが嫌がった」となっては逆効果です。成功させるためのポイントは2つ!

  • 100%完璧を目指さない: 最初は「なんちゃって」でOK!宇宙語のようになっても、リズムが合っていれば褒めてあげましょう。
  • 大好きな教材を使う: 興味のない教科書ではなく、YouTubeのアニメや、好きなキャラクターが話している短いフレーズから始めましょう。

親子でできるシャドーイングの4ステップ

シャドーイングは「いきなり音を追いかける」のはハードルが高いもの。お子さんが嫌がらないよう、以下の順序で進めるのが成功のコツです。

ステップ1:まずは「聞くだけ」で内容を理解

いきなり真似させようとせず、まずは動画や音声を普通に見たり聞いたりします。「何の話をしてるかな?」「あ、今『Apple』って言ったね」と、内容に興味を持たせることが先決です。

ステップ2:文字(スクリプト)を確認する

(※文字が読める年齢の場合) 何を言っているのか全くわからない状態で音を追うのは苦痛です。一度テキストを見て、「なんて言っているか」を頭で一致させます。

  • ポイント: 親御さんが「こう言ってるよ」と軽く教えてあげるだけでもOK。

ステップ3:一文ずつ止めて真似る(リピート)

ここが重要です!いきなり流しっぱなしで追いかけるのではなく、一文ごとに一時停止して、お子さんに真似(リピート)をさせます。

  • やり方: 音声が「Hello! How are you?」と言ったら止める → お子さんが「Hello! How are you?」と言う。

ステップ4:いよいよ「影」のように追いかける

慣れてきたら、音声を止めずに「0.5秒〜1秒遅れ」で追いかけます。

  • コツ: 完璧に言えなくても「止まらずに最後まで音についていく」ことをゲーム感覚で楽しみます。

保護者向け:もっと効果を出すための「3つの小技」

  1. 再生速度を調整する(0.75倍速の魔法) YouTubeなどの機能で「0.75倍速」にすると、驚くほど真似しやすくなります。まずはゆっくりから始めて、自信をつけさせてあげましょう。
  2. 自分の声を録音して聴いてみる スマホの録音機能で、お手本の音とお子さんの声を録音して聴き比べます。「自分の声が英語っぽく聞こえる!」という体験は、子どものやる気に火をつけます。
  3. 「口の動き」を大げさにする シャドーイングは耳だけでなく、口の筋肉のトレーニングでもあります。親が一緒にやる時は、少し大げさに口を動かして「英語を話す顔」を見せてあげてください。

まとめ

音読がテキストの文字を理解し「知識」を定着させる練習なら、シャドーイングは、英語をリアルタイムで処理し、使いこなすための「脳と口の筋トレ」です。

スポーツに例えるなら、ルールを覚えるのが「音読」、実際にコートに出てボールを蹴るのが「シャドーイング」のようなもの。どちらも大切ですが、英語を「話せる」ようになるためには、この「実戦の筋トレ」が欠かせません。

まずは1日5分、お気に入りのアニメの真似っこから始めてみませんか?

最初はうまく言えなくて当たり前。宇宙語のようなモゴモゴから始まっても、毎日続けていると、ある日突然、お子さんの口からネイティブそっくりのフレーズが飛び出してくるはずです。その瞬間の驚きと感動は、親子で英語を楽しむ最高の報酬になります。

シャドーイングで手に入れた「英語の耳」と「自信」は、お子さんが将来、広い世界へ羽歩くときの一生モノの武器になります。

まずは今日、YouTubeでお子さんが一番好きな動画を一緒に選ぶところからスタートしましょう!

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この記事を書いた人

主に英語カテゴリー担当のパパ。
英検準一級・TOEIC800点。
日本で英語を学び、家庭での英語との関わり方を実践中。
幼児〜小学生向けに、無理のない家庭英語を発信しています。

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