「卵黄を食べた数時間後、突然の激しい嘔吐。ぐったりする我が子を見て、パニックになりそうな自分を必死で抑える……。」
今、この記事を読んでくださっているあなたは、そんな辛い経験をしたばかりかもしれません。
わが家の次男は生後9ヶ月の時、「食物たんぱく誘発胃腸症(旧名:消化管アレルギー)」と診断されました。
「さっきまであんなに元気だったのに、なぜ?」
「血液検査は陰性なのに、どうしてこんなに吐くの?」
「いつまで、卵が食べられないの?」
出口の見えないトンネルの中にいるような不安でいっぱいだったあの日から約2年。
次男は2歳10ヶ月で、無事に「完治」の日を迎えることができました。
この記事では、
• 突然の発症から大きな病院での診断までの流れ
• 完治までに行った4回の自宅負荷試験の様子
• 「もし吐いたら…」に備えた我が家の当日ルーティン
について、実体験を詳しくまとめました。
今、不安の真っ只中にいるママやパパへ。「いつか笑ってオムライスを食べられる日が来る」という希望が、少しでも届きますように。
1. はじめに:食物たんぱく誘発胃腸症(FPIES)とは?

まず、初めてこの病名を聞く方のために簡単に説明します。
以前は「新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症」や「消化管アレルギー」と呼ばれていました。
一般的なアレルギー(即時型)は、食べてすぐに「じんましん」や「呼吸苦」が出ますが、このタイプは「消化管(胃腸)」で反応が起こるのが特徴です。
• 主な症状: 食後1〜4時間ほど経ってからの激しい嘔吐、下痢、血便、顔面蒼白など。
• 特徴: 血液検査(IgE抗体)では「陰性」と出ることが多く、診断にはエピソード(症状の経過)が重視されます。
• 予後: 多くの場合は3歳前後までに耐性を獲得し(治り)、元気に何でも食べられるようになります。
2. 【体験談】順調だった離乳食。まさかの9ヶ月での発症

実は次男の場合、生後6〜7ヶ月の離乳食初期は、卵黄を問題なく食べられていました。
ところが、8ヶ月の時にバタバタしてしまい、卵黄を全くあげない期間を作ってしまったんです。
そして久しぶりに与えた生後9ヶ月。少量の全卵に挑戦した日のことでした。
食べた4時間後に、それまで経験したことのないような噴水状の嘔吐を繰り返しました。2時間の間に4回。ぐったりした姿を見て、ただ事ではないとパニックになりました。
「あげない期間」が原因?
後から知ったのですが、このアレルギーには「継続して食べていないと、次に食べた時に症状が出やすくなる」という説があるそうです。「あの時、間を空けずに卵黄を食べさせていたら……」と自分を責めた時期もありました。
でも、先生からは「消化機能が未熟な時期に起こることだから」と説明を受けました。もし今、同じように「私のせいかも」と悩んでいるママがいたら、どうか自分を責めないでくださいね。
2. 大きな病院での正式な診断

すぐに地元の小児科を受診
「これは普通の吐き戻しじゃない」
元々吐き戻しの多い次男でしたが、明らかに普段と様子が違いました。
全卵に初めて挑戦した日だったので、卵白に対するアレルギーが出たのでは……とすぐに地元の小児科を受診。
そこで血液検査をしてもらったのですが、結果は意外にも“陰性“。
「次は卵白から始めて量を増やし、大丈夫だったら全卵に進んで」と言われ、その通りにすると、卵白は大丈夫だったのに全卵を食べた日にまた嘔吐がありました。
再び小児科を受診すると、「消化管アレルギー(食物たんぱく誘発胃腸症)の可能性がある」とのこと。そして、正式な診断ができる大きな病院への紹介状を書いてもらいました。
総合病院の小児アレルギー科を受診
紹介状を書いてもらってのは総合病院の小児アレルギー科。
先生からは「この病気は血液検査に反応が出ないことが多いんです。食後の経過と症状が、診断材料になります」と言われました。
今までの経過や症状を説明し、正式に「卵黄の食物たんぱく誘発胃腸症(FPIES)」と診断されました。
先生からは、
- 原因である卵黄は完全除去
- 卵白は定期的にあげ続けること
- 卵を使用している予防接種は打っても大丈夫
- 負荷試験はおおよそ半年ごとに行い様子を見ること
- 大半が3歳頃までに治るアレルギーであること
といった説明を受けました。
原因がはっきりした安堵感と、「これからどうなるんだろう」という不安が入り混じったのを覚えています。
次男の症状は卵黄を食べてから3〜4時間後の嘔吐、そこから1時間ほどぐったりした後はまたすっかり元気に戻る、といったものでした。
そのため負荷試験は病院でもできるし、自宅で行っても良いと言われ、わが家は自宅で負荷試験を行うことに決めました。
3. 半年ごとの自宅負荷試験

診断後は、完全に卵黄を除去する生活が始まりました。そして約半年ごとに、自宅で「負荷試験」を行っていくことになります。
私の場合は、計4回の自宅での負荷試験をしました。
• 1回目(1歳3ヶ月)
先生から指示された量は、ほんの「耳かき一杯」程度。
体調が良い日で、平日の午前中(小児科が開いている時間)に実施しました。
あんなに怖い思いをした卵を再び口にするのは、親として本当に勇気がいりました。吐かないか、片時も目を離せませんでした。
そしてまた4時間後に2回の嘔吐。ぐったりして眠る次男を見て、まだまだ先が見えず胸が苦しかったです。
• 2回目(1歳10ヶ月)
家族でコロナにかかり、次男が私よりひと足先に回復した時でした。
負荷試験を実施する予定ではなかったのですが、普段食べていたビスケットと勘違いし、家族が次男のおやつに卵入りのクッキーをあげてしまいました。
病み上がりだったからか、この時が1番ひどい症状が出ました。クッキーを食べた2時間半後から、3時間かけて7回の嘔吐。
自分の高熱を忘れるくらいハラハラして、嘔吐が落ち着いた時には本当にホッとしました。
• 3回目(2歳4ヶ月)
この時も耳かき一杯程度、ごく少量の固茹での卵黄に挑戦。
食べてから4時間経っても元気に過ごす次男を見て、ついに治った⁈と期待したその矢先。
卵黄を食べてから4時間半後に嘔吐。でも今まで数回嘔吐があったのに、この時は1度だけでした。
少しずつ消化機能が成長してきている気がする!と希望が持てました。
・ 4回目(2歳10ヶ月)
耳かき一杯の卵黄からスタート。全く症状が出ず、元気に過ごすことができました。
数日後、量を増やしても大丈夫。卵黄8分の1、4分の1と大丈夫で、ついに治った!と夫と大喜びしました。
4. 負荷試験の日のマイルーティン:備えあれば憂いなし!

自宅での負荷試験は、毎回「また吐くのかな…」という緊張感でいっぱいでした。私が少しでも心に余裕を持つために決めていた、当日のルーティンをご紹介します。
① 実施は必ず「平日の午前中」
万が一、激しい嘔吐が止まらなかったり、ぐったりして脱水症状が心配になったりしたとき、すぐに小児科に相談できるよう、病院が開いている平日に食べさせていました。土日や夜間は避けるのが鉄則です。
② 「吐くこと」を前提とした準備
「今日は吐かないはず」ではなく「吐くことを前提」に準備を整えていました。
- タオルとビニール袋: 嘔吐は突然やってくるので、すぐに手が届く場所に。
- 着替えのストック: 子どもはもちろん、抱っこしていたら自分の服も汚れるので、親子セットで用意しておきました。
- リンゴジュースなど: 吐いた後の水分補給として買い置きをしていました。
③ 体調チェックは前日から
少しでも鼻水が出ていたり、機嫌が悪かったりするときは、無理せず延期しました。万全の状態で挑戦することが、正確な判断と子どもの負担軽減につながると考えたからです。
実際、予定外に体調が万全でない時に接種してしまった時の症状がとてもひどかったので、体調チェックの重要さを実感しました。
④ 食べた後の「4時間」は片時も目を離さない
FPIESは食べてから2〜4時間後に症状が出ることが多いため、食後の4時間は自宅でゆっくり過ごしました。
この間は「顔色が悪くないか」「機嫌はどうか」を常にチェック。機嫌よく過ごしているのに突然嘔吐するので、目を離すことのないよう常に側にいました。
5. ついに2歳10ヶ月で完治へ

こうして次男は4回の負荷試験を経て、2歳10ヶ月で完治となりました。
9ヶ月の発症から約2年。長かった除去生活が終わった瞬間でした。
今まで欲しがってもあげることができなかった卵入りのパンやお菓子をあげることができた時の喜びをハッキリと覚えています。
今まで家でも外でもアレルギー成分表を気にして「これは食べられないよ」と言われ過ごしてきたのが、なんでも食べられるようになり本人も嬉しそうでした。
病院を受診した時、3歳までに治ることが多いと言われた通り、次男は3歳目前での完治となりました。
6. まとめ:今、不安と戦っているママ・パパへ

9ヶ月で発症し、2歳10ヶ月で完治するまでの約2年間。成分表のチェックや、兄が食べる卵に決して触れることのないよう気をつけて過ごした毎日に大変だなと思う時もありました。
最後に、私の経験を通して一番伝えたいことを3つにまとめます。
• 「お母さんのせい」では絶対にない
「あの時、間を空けずに食べさせていたら」と後悔することもあるかもしれません。でも、この病気は子どもの消化機能の発達段階で起こるものです。自分を責めず、今の頑張りを認めてあげてくださいね。
• 「いつか終わりが来る」と信じて
FPIESは、多くの子供が3歳前後までに耐性を獲得すると言われています。出口が見えないように思えても、子どもの体は日々、確実に強く成長しています。
• 専門医と二人三脚で進もう
自己判断で進めるのは怖いものです。信頼できる先生を見つけ、指示を仰ぎながら、一歩ずつ「安心」を増やしていってください。
最後に。
卵黄が食べられなかった時期は、献立作りも外食も本当に一苦労でした。でも、その試行錯誤があったからこそ、今、家族みんなで同じものを「美味しいね」と食べられる幸せを、人一倍噛みしめることができています。
この記事が「本当にいつか終わりが来るの?」と不安な夜を過ごしているママ・パパの、小さな光になれば嬉しいです。


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