「りんご=Apple」はもう古い?親子で楽しく「英語脳」を育てる3つの魔法

「将来、英語で困らないようにしてあげたい」 「今のうちから耳を鍛えて、ペラペラになれたら最高!」

でも、ついつい焦って、こんな風にお子さんに話しかけていませんか?

「ねぇねぇ、りんごって英語でなんて言うんだっけ?」 「ほら、昨日の動画で出てきたでしょ、犬は……ド、ド、……?」

これ、実はかつての私もやってしまっていた「おうち英語あるある」なんです。

「早く覚えてほしい!」という親心。でも、実はこの「これ英語でなんて言うの?」という質問、お子さんの脳の中で「日本語を英語に変換する」という、ものすごく複雑で遠回りな作業を強いてしまっているかもしれません。

せっかくの英語学習が「単語テスト」のようなプレッシャーになってしまったら、もったいないですよね。

もっと楽に、もっと自然に、まるで魔法みたいに英語がスッと入っていく。そんな状態を作るのが、今回ご紹介する「英語脳」の育て方です。

目次

1. なぜ「日本語で訳す」のがNGなの?

大人の私たちは「Apple = りんご」と単語帳で覚えるのが当たり前でした。でも、この方法には弱点があります。

  • スピードについていけない: 会話の中で「Apple」と聞いた時に、一度「りんご」という日本語を挟むと、次の単語を聞き逃してしまいます。
  • 「勉強」になってしまう: 翻訳作業は脳にとって疲れやすく、子どもが英語を「お勉強(苦痛)」と感じる原因に。

理想は「🍎(イメージ)」と「Apple(音)」をダイレクトにつなげること。 これが英語脳の第一歩です。

英語脳がある人とない人の決定的な違い

英語がスラスラ出てくる人と、考え込んでしまう人。この両者の頭の中には、決定的な「回路の違い」があります。

その違いを一言で言うと、「日本語という『中継地点』を通っているかどうか」です。

❌ 英語がなかなか喋れない人の脳(翻訳脳)

英語を聞いたり話したりするたびに、頭の中に「翻訳機」を挟んでいる状態です。

  • 聞くとき: 英語の音 → 日本語に訳す → 意味を理解する
  • 話すとき: 伝えたいこと → 日本語で文章を作る → 英語に直す → 口に出す

この「日本語に直す」という作業には、ものすごいエネルギーと時間を使います。 「Apple=りんご」なら一瞬ですが、文章が長くなればなるほど、脳の処理が追いつかずにパンクしてしまいます。これが「リスニングが苦手」「会話のテンポについていけない」の大きな原因です。

✅ 英語を喋れる人の脳(英語脳)

英語と意味(イメージ)が、太いパイプで直結している状態です。

  • 聞くとき: 英語の音 ⇄ イメージ(映像・感情)
  • 話すとき: イメージ ⇄ 英語の音

たとえば、ネイティブに “How are you?” と聞かれて “I’m fine!” と答えるとき、「えーっと、Howはどのように、areは……」なんて翻訳はしませんよね? 音を聞いた瞬間に「今の自分の気分」と結びついて、勝手に言葉が出てくるはずです。

この「翻訳なしの直結回路」を、他の単語や文章でもどれだけ広げていけるかが、語彙力を増やす本当のカギになります。

特徴翻訳脳(喋れない)英語脳(喋れる)
処理ルート英語 ↔ 日本語 ↔ イメージ英語 ↔ イメージ
スピードワンテンポ遅れる瞬時に反応できる
疲れやすさ脳がフル回転で疲れる自然なので疲れない
目指す姿秀才タイプ(勉強)ネイティブタイプ(感覚)

大切なのは「回路のつなぎかた」

子どもは、この回路を作る天才です! 大人のように「文法が…」「スペルが…」と理屈で考えないからこそ、音とイメージを直接ガッチャンコして、ショートカット回路を爆速で作ることができます。

だからこそ、最初の単語学習から「日本語の訳」を教え込むのは、せっかくのショートカット回路を塞いでしまうことになりかねないのです。

「英語脳」のイメージはこう!

英語脳ができている子は、文章を聞いた瞬間に、頭の中に「1枚の動く絵(またはショート動画)」がパッと浮かんでいます。

  • 音: 「A big red bus is coming!」
  • 脳内イメージ: (ドーンと大きな赤いバスが、自分の方へ走ってくる映像)

文字や日本語の字幕を追うのではなく、「情景そのもの」を思い浮かべる。これが「英語を英語のまま理解する」ということです。

なぜ子どもには「英語脳」が作れるの?

大人はすでに強固な「日本語の回路」ができあがっているため、新しい言葉を覚えるときに「これ、日本語でなんていう意味?」と既存の回路に頼ろうとしてしまいます。

しかし、子どもの脳はまだ真っさらな状態です。 「日本語」というフィルターを通さなくても、見たもの、触ったもの、感じたこと(=イメージ)をそのまま「英語の音」として吸収できる、いわば「英語脳の黄金期」にいます。

この時期に「りんご=Appleだよ」と日本語で教えてしまうのは、せっかくのショートカット回路をわざわざ塞いで、遠回りな「翻訳ルート」を覚え込ませているようなもの。

「英語の音」と「イメージ(体験・映像)」をセットでインプットする。 これこそが、一生モノの「英語脳」を作る唯一のトレーニングなのです。

赤ちゃんが『ママ』という言葉を覚えるとき、『ママとはお母さんのことだよ』という説明は受けていませんよね。大好きな人の顔(イメージ)と、ママという『音』が直結しただけ。

2. 実践!英語脳を育てる3つのアプローチ

英語脳を育てるコツは、とにかく「日本語(翻訳)」が割り込む隙を与えないことです。そのためには、五感をフル活用したインプットが欠かせません。

① 「これなーんだ?」を卒業!「指さし」で繋ぐ

日本語で「これ、英語でなんて言うの?」と聞くと、子どもの脳は「りんご→えーっと、Apple」と翻訳回路を使い始めてしまいます。

  • アクション: 言葉で聞く代わりに、「Point to…(指さして)」遊びをしましょう。
  • やり方: 食卓にフルーツが並んでいるとき、「Point to the Apple!」と言って、子どもに指を指させます。
  • 深掘り: 逆に子どもに聞くときは「What’s this?」だけでOK。「りんご」という日本語を介さず、視覚(🍎)と音(Apple)をダイレクトに結びつける癖をつけます。

② 「ピクチャーディクショナリー」を絵本として楽しむ

文字が並んでいる単語帳ではなく、「1枚の大きな絵の中に単語が散りばめられている図鑑」が英語脳作りには最適です。

  • アクション: 街の風景や公園の絵が描かれた「ピクチャーディクショナリー」を用意します。
  • やり方: 勉強として「覚えなさい」と言うのではなく、「Look! A yellow dog is running!(見て、黄色い犬が走ってるよ)」と、絵本のように読み聞かせます。
  • 深掘り: 文字(スペル)を見るのではなく、「状況(絵)」と「説明(音)」を同時に脳へ流し込むのがポイント。これにより、後で「dog」と聞いた時に、文字ではなく「あの時見た黄色い犬の絵」が浮かぶようになります。

③ 魔法の教え方「TPR(全身反応法)」

名詞(物の名前)は絵で教えられますが、動詞(動き)は日本語で説明してしまいがち。そこで役立つのがTPR(Total Physical Response)です。

  • アクション: 言葉と動作を完全に一致させて、親がやって見せます。
  • やり方:
    • 親が「Sleep…」と言いながら寝るポーズ。
    • Yummy!」と言いながら笑顔で頬をさする。
    • Wash, wash, wash…」と手を洗う動きをする。
  • 深掘り: 大切なのは、「日本語の意味を教えないこと」です。「Washは洗うっていう意味だよ」と説明した瞬間、英語脳はストップしてしまいます。動作を見せるだけで、子どもは「あ、この動きはWashなんだ!」と直感的に理解します。

もし子どもがりんごって英語でなんていうのと聞いてきたら?

子どもが「りんごって英語でなんていうの?」と日本語で聞いてきたら、これってきっとあるあるだし、私たち大人もそうやって単語を覚えてきましたよね。

しかし、普通に「Appleだよ」と答えてしまうと、子どもの脳には「りんご(日本語)=Apple(英語)」という翻訳の壁がガッチリ作られてしまいます。

英語脳を育てるための「神対応」を3段階で紹介します。

1. 【基本】日本語をスルーして「実物・絵」を指さす

言葉で説明するのではなく、視覚情報(イメージ)を脳に届けます。

  • 子ども: 「りんごって英語でなんていうの?」
  • 親: (りんごを指さしたり、手に取ったりして) 「This? This is an Apple!」 と笑顔で答える。
  • ポイント: 「りんごはね、Appleって言うんだよ」という日本語の解説を一切挟まないのがコツです。

2. 【応用】「音のクイズ」にして考えさせる

すぐに答えを教えず、子どもに「イメージ」と「音」を結びつけさせます。

  • 親: 「Hmm, what is it? Is it an Orange? Or an Apple?」
  • 子ども: 「Apple!」
  • 親: 「Yes! Great! It’s an Apple!
  • ポイント: 選択肢を出すことで、子どもの脳は「日本語の意味」を介さず、「目の前の赤い物体 = Apple」という音を探しに行きます。

3. 【理想】五感を刺激して「体験」に変える

ただの言葉ではなく、「体験」として記憶に刻みます。

  • 親: (りんごを切る音をさせたり、匂いを嗅がせたりして) 「Smell it! It’s an Apple. Let’s eat an Apple!」
  • ポイント: 香り、感触、味といった五感の情報が加わると、英語の音は「日本語の訳」なしでダイレクトに脳に定着します。

まとめ|完璧を求めず、まずは「英語の音」を楽しもう

「英語脳」と聞くと難しく感じますが、要は「英語と日本語を混ぜない時間を作る」だけでOKです。

最初はパパ・ママも、英語だけで話しかけるのは照れくさいかもしれません。でも、お子さんの脳は驚くほど柔軟です。「🍎 = Apple」という直感的なつながりを、遊びながら増やしていきましょう!

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この記事を書いた人

主に英語カテゴリー担当のパパ。
英検準一級・TOEIC800点。
日本で英語を学び、家庭での英語との関わり方を実践中。
幼児〜小学生向けに、無理のない家庭英語を発信しています。

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